愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

先週読んだ本をまとめて

『色彩の息子』 山田詠美 新潮社文庫 ISBN:4101036136
『ため息の時間』 連城三紀彦 集英社文庫 ISBN:4087482278
『青い犠牲』 連城三紀彦 文春文庫 ISBN:416742004X
『ユーレイ・ミラクルへの招待状』 名木田恵子 ポプラ社 ISBN:4591068625
『ユーレイ・ラブソングは永遠に』 名木田恵子 ポプラ社 ISBN:4591070271
なんかもう1冊くらい読んだ気がするけれど思い出せません。山田詠美って同世代の女の子がほとんど読んでいる気がするんですが、初読みでした。なんか頭良さそうな文章書くなぁ。短編にちなんだ色紙が挟んであるという趣向は面白かったし、作品も一つ一つの完成度が高かったです。連城三紀彦は本当にうまい。彼の作品にはどんでん返しが必ずあるんだけど、それが大げさな音を立てるようなものじゃなくて、垂直に立てておいた紙が倒れるようなさりげなさで起こるんですよね。毎回すっかり騙されるのは私の脳みそが足りないせいだけじゃないはず。『ため息の時間』は単行本との読み比べもしたんだけれど、個人的にラストは文庫版の方がよかったです。現代作家で一番文章がうまいのは連城さんなんじゃないかしら。もう一人うまいと思う人がいるけれどそれは秘密。
で、一番書きたかったのが下二つの感想。ポプラ社から出ている「ふーことユーレイシリーズ」ってご存知の方いらっしゃいますか?たぶん今20歳前後の方は小学生のころ読んだことがあるのではないでしょうか。ふーこという小学5年生の女の子がある日突然魔法の呪文で小学6年生のユーレイ和夫くんと結婚する羽目になってしまって…!というどたばたハートフルラブコメディが第一作目だったのですが、これには続編が数多くありまして(全14作)、お互いを想い合っているのに人間とユーレイだから結ばれない二人の恋路がもう本当に切ないんですよ。小学生の時と中2の時と2度に渡ってハマりまくり、12作目の『ユーレイのはずせない婚約指輪』まで一気に読んだものの続きがなかなか出ないことにいらついていたのですが、最近図書館でふと検索してみたらもうとっくの3年前に完結しているじゃないですか。その図書館では貸し出し中だったので、電車で4駅先の図書館までわざわざ借りに行ってさっそく読みました。
んーーー切ねぇなぁ。名木田恵子って水木杏子(『キャンディ・キャンディ』の原作者)だからなぁ。テリーとキャンディをくっつけてくれなかった人だからなぁ。そういやアンソニーの声優って井上和彦さんなんだよなぁ(関係ない)。いや、ハッピーエンドなんですけど、終わるってのは切ないですね。かれこれ10年くらい読んできたわけですから。そして和夫くんってば相変わらずかっこいいわぁ。この子は小6なのになんでこんなに女の扱いがうまいんだろう。ちょっと見て下さいよ。

「ごめん…。」
和夫がやっと唇をはなすと、照れたように笑った。
「ふーこの息ができなくなるね。」
「息なんて止まってもいいって思っちゃった。」
「バカ。」
和夫はそういってわたしをやさしくひざに抱き上げた。

どんな小学生だっつーの。いや、でもくさいけど良い話なんですよ。やっと完結したということで、名木田先生も挿絵のかやまゆみ先生もお疲れさまでした。そういえばかやま先生は加山弓名義でボーイズを書かれてますよね。単行本を見たときは軽くショックでした。この筋のショックを少女たちに与えた人の最大手はあさぎり夕だよなぁ。『紅伝説』とか『アイ・ボーイ』とか『キャッシュな関係』とか好きだったのに(微妙にマイナー作品か?)、あんなノーテンすっからかんなボーイズ漫画&小説を書く人になろうとは…。