愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

傷だらけの天使たち

傷だらけの天使たち (小学館文庫―Young Sunday comics)

傷だらけの天使たち (小学館文庫―Young Sunday comics)

喜国雅彦先生って天才じゃね?もう20年近く前の漫画なのにまったく色褪せていないのがすごい。最近なんかの文庫本の帯に「傑作とは予言性のある作品のことだ」みたいなことが書いてあるのを見たけれど、まったくその通りだと思う。予言性っつーか普遍性っつーか先見の明っつーか。かつて夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んだ時もそんなことを思ったものだった。笑いというものは時代の影響を受けやすいものなので、時を隔てても面白いということはもうそれだけですごい。喜国雅彦先生といえば『月光の囁き』だけれど読み比べてみて思った。アブノーマルな性癖は正面切って描かれるよりギャグに折り混ぜて描かれた方が妙な説得力と生々しさを持って迫ってくる。


4コマのタイトルの余白にちょっとした作者の一言が書いてある4コマ漫画といえば私の中では『ペケ』だったのだけれど、この漫画もそうだった。もしや喜国先生がパイオニア?あまりにも素晴らしい御言葉だらけだったので、いくつか書き起こす。

「大人の何げない一言に子供は一生を賭けている」
「この世には男も女もない、ただ寂しい人間がいるだけだ」
「みんな自分が主人公、それに気づいた時ドラマは終わる」
「美少女よりも美少年に胸がときめく私は異常でしょうか」
「家族が仮族を加族して過族する日」
「私は未だかつてお金を落とした事はない その分人生を落としている」
「あの頃の一日は長かった、人生を変えるには充分だった」