愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

あのこと

例のサイリウム企画はファミクラに問い合わせたようですね。これで賛同する方は心置きなく参加できるようになってよかったです。

それと田口くんおめでとう。与えられたチャンスをきっちり掴んで下さい。田口くんがどんな風に演じてくれるのか、実は田口くん目当てで『模倣犯』を劇場まで見に行った過去のある者として楽しみにしています。

長々しくあのことについて書きます。




今回の件に関して彼のことを擁護するつもりはありませんし(ただしファンとして同情はしてしまいます…)、最悪の事件だとも思っていますが、まだ若い彼に立ち止まる時間が与えられたという点に関してはそれほど悪いことではないと思っています。もう一度言っておきますが、今回の事件が起こって良かったということでも、彼が悪くないということでもありません。そう言うには彼が迷惑をかけた範囲はあまりに広すぎました。ただ彼に甘い一個人として、そう思ってしまうことも事実なのです。ごめんなさい。

エイトの他の7人にあって彼になかったもの、それはキャリアや自覚よりも「時間」だったのではないかと思います。7人は栄光の時代も不遇の時代も経験しているわけで、不遇時代に腐るほどあったのであろう時間の中で自分自身や自分の仕事と向き合い、なんというか仕事に対する覚悟や折り合いのようなものを身に付けることができたのではないかと思うのです。だからエイト(特にヨコヒナ)は仕事があって忙しいことも素直に喜べるのだと思います。私はエイトのそういうひたむきさやハングリーさがとても好きです。

ただ彼にだけにはそういう覚悟のようなものがなく、それゆえの甘さは彼の短所でもあり長所でもあったような気がします。今回は短所として最悪の形で露呈してしまったわけですが…。

彼にとって仕事に追い立てられ続ける日々は、ひたすら回し車を回し続ける鼠にでもなったかのように思えることもあったのかもしれません。というか私には彼がそんな風に見えることがありました。病ですら彼の足を止めることはできませんでした。最低限回復したところで再び彼は回し車の中に投げ込まれました。今回の件でそこから強制的に投げ出され、やっと彼はその足を止めることができました。本当に馬鹿なことをしてくれたと思うと同時に、止まれたことに少しほっとしてしまった私がいるのも事実です。

今回彼には自分自身と自分の仕事に向き合う時間が与えられました。これを機に自分のために考えて考えて考え抜いてほしい。自分を責めるのもいい。泣いても怒ってもいい。ただきちんと問題と向き合って考えて欲しい。そうして彼がこの仕事との決別を選んだとしても、それは仕方のないことだと思う。

私が怖いのは、もし彼が「戻る」という選択肢を選んだとしても事務所がそのチャンスを与えてくれなかった時のこと(実際に事務所がチャンスを与えたかどうかなんて一般人の私には知る由もないと思いますが…)。今回の件は未成年の彼を馬車馬のごとく使っていた事務所も責任の一端を担っていると思っています。だからお願いだから、彼から「戻る」という選択肢を奪わないで欲しい。「戻らない」と「戻れない」はまったく違うことです。もし結果的に同じ道を歩むことになるとしても、選択肢が与えられたかどうかということは彼の今後の人生に大きな影響を与えることになると思うのです。

だから彼からチャンスを、選択肢を奪わないで欲しい。
今願うことはそれだけです。

追記:なんとなく彼が戻らないことを前提に書いているように見えますが、もちろん私自身は「いつになってもいいから帰ってこいよこの野郎!」って感じですよ。ただそういう選択肢もあると思います、ということです。多くの選択肢があるということは若者の特権なのです。