愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

あのころはフリードリヒがいた

あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520))

あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520))

戦時中のあるユダヤ人一家の話。煽動された人間の恐ろしさ、醜さ。藤子・F・不二雄のある短編ににくまれ屋という職業が出てくる。宇宙船の乗組員たちを結束させるためにあえてにくまれ役を演じる職業である。人間は残念ながら、好きな物を通じてよりも嫌いな物を通じての方が強く結びつくことができる。人を褒める話より悪口の方が盛り上がる。それを国家単位でやってしまったのがナチス。怒りと哀しみに満ちた物語だった。