愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

「わたし、もうだめみたい……」

そうつぶやいたしゅんかん、あたりに光がみちました。
まぶしさのあまり、わたしはおもわず目をとじました。
どのくらいたったのでしょうか。
ふいにキャラメルのあまいかおりが、ふんわりとただよってきました。
おそるおそる目をひらくと、かわいらしいメイドさんが立っています。
メイドさんはオーケーサインをつくりながら言いました。
「だいじょうぶですよ。もんだいなしです」
じっさいのところ、もんだいは山づみなのですが、
なにやらかわいらしいので、ちょうげんきが出ました。