愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

賭博者

ドストエフスキーの駄目人間っぷりが如実に分かる一冊。

賭博者 (新潮文庫)

賭博者 (新潮文庫)

それになぜ勝負事のほうが、どんなものにせよ他の金儲けの方法、たとえば、まあ、商売などより劣っているのだろう。(中略)少しでも早く、少しでもたくさん儲けようという欲求のうちに、わたしは不潔なものなどまるきり何一つ見いだしはしない。

こいつはロシアのカイジだね。むしろカイジが日本のアレクセイなのか?ラストはとにかくもう笑うしかなかった。様々な人間の色々な結末がこれでもかと畳みかけられるジェットコースターロマンス。この笑うしかない感じは『四丁目の夕日 (扶桑社文庫)』の読後感とやや似ている。お話自体も面白いんだけど、あとがきにあるこの小説を書くにいたった経緯を知るともっと面白い。ドっくんてば駄目人間!

ロシア人は資本を獲得する才がないばかりか、ただいたずらに、むちゃくちゃに浪費さえするんです。(中略)したがってわれわれは、たとえばルーレットみたいに、二時間ほどで労せずしてふいに金持になることができるような方法を歓迎しますし、ひどく取りつかれやすいんです。

ロシア人にかこつけているけど、本当はアレクセイ(というかドストエフスキー)が駄目人間なだけな気がしなくもない。ロシア人の特質というものも、もちろんあるんだろうけどさー。そういえば朝テレビで見たんだけど、ロシア(ウラジオストック)は交通事情が悪くて運転しているとイライラしてしまうので、男より気の長い女の人が路上バスの運転手をするらしいです。どこまで本当か知らないけど、なんか興味深かった。
今日はマジレンジャーショーを見た後に中野で辻ちゃん加護ちゃんの写真をたくさん買って機嫌が良かったので、家にある読んでいない本を綺麗に積み上げてみようと思ったのですが、90冊を超えたところでうんざりしてやめてしまいました。何このバベルの塔。ゲーマーの友人が「俺の家には来世の分までゲームがある」と半ば絶望しながら言っておりましたが、私の部屋にも現世で困らない分くらいは本がありそうです。なぜか『ナポレオン言行録』が2冊ありました。こういうのに限って定価で買っているという……。それだけ思い入れが深かったのでしょうが、自分が一体何を目指して『ナポレオン言行録』を買ったのかさっぱり覚えておりません。しかも2回も。