ジョーと並行して読むにはちょうどいいかもしれん

一度だけおこることは、一度もおこらなかったようなものだ。人がただ一つの人生を生きうるとすれば、それはまったく生きなかったようなものなのである。

何このかっ飛ばした小説。いきなり何言ってんの？なんかおかしいんだけど、なんか意味不明なんだけど、なんかすごい小説な気がする。この世には中に何も詰まっていない意味不明さと、何かがぎっしり詰まっている意味不明さがあって、大抵の意味不明なものって前者にあたると私は思っているんだけど（だから意味不明なものってあまり好きではないんだけど）、この小説は後者なような気がする。「気がする」ばっかりなので、読み進めていくうちに期待外れだったとがっくりくるかもしれないけど。この小説の言う「軽さ」という言葉ほど重い意味を含むものもない気がする。この矛盾？パラドックス？たまらん。

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)