愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

『アヒルと鴨のコインロッカー』

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

伊坂幸太郎の小説って本当に面白いなぁ。電車を乗り過ごすくらい夢中に読んでしまった。それも帰りじゃなくて朝ですよ。気を抜かれるにもほどがある。私にとって良い小説とは、結局のところ好みのタイプの男性が登場する作品であるらしい、というわりとしょうもないことを最近悟った。ドストエフスキー作品に出てくる苦悩する青年とか超好み。ドストエフスキーは基本的に美青年を苦悩させるから萌えるんです。伊坂幸太郎作品に登場する男性はいい。なんかいい。かっこつけてて、自然体で、でもかっこつけてるのがいい。少し見栄を張っているのもいい。なんかいいのだ。『悪霊』のスタヴローギンと本作の河崎はちょっと似ていると思う。村上春樹の小説の良さがさっぱり分からないのは、つまりはそういうことなのだろう。