愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

応援歌よりOH!ENKA

スマステーションでアラフォー(この言い方って市民権を得ているの?)の応援ソング特集みたいなものをやっていたんだけど、等身大の応援ソングというのがどうも苦手だ。「負けないで」とか「元気を出して」とか、良い曲なのは分かるような気がするんだけど、全然琴線に触れない。
私は曲に等身大なんて求めてない。むしろ自分なんていらない。アイドルが何故好きかって?そこに自分の入り込む余地がないからなんだよ。だから私は双眼鏡で覗くのが好きなんです。神格化しているわけではなくて、此岸と彼岸の間に横たわる絶対的な距離に安堵する。『悪霊』でピョートルがスタヴローギンに「物陰からよく君を眺める」と言っていたけれど、彼はどんなに欲しても自分がスタヴローギンになれないことが痛いほど分かっているから、正面から見つめることができず、物陰から見つめ続けている間に彼を自らの手で更なる高みに押し上げることを思いついたんだと思う。スタヴローギンを絶対に届かない位置にまで押し上げ、それが自分の手で成されたという事実を手にして、やっと彼は自己実現をすることができるのだろう。スタヴローギンは色々な人物からそういう感情を向けられて、「なんで俺にばっかりそういうこと言うんだよ!」と苦悩する場面もあるんだけど、その関係性に「アイドル」と「ファン」の関係性も重ね合わせられる気がする。

というわけで、私もピョートル同様、自分がすごいと思った人をぶりぶり押し上げたいのです。等身大の自分を見つめている場合じゃないの!でも明日は試験なの!だからちょっぴり励まされたいの!というわけでアイドルソングを聴いて士気を高めています。やっぱり「Kis-My-Me-Mine」は最高!