愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

横山YOUがヤっちゃいます〜3 2010春(14:30/18:30開演・名古屋国際会議場センチュリーホール・雑感)

私は数年前までエイトファンで、当時はやっさんが好きでした。口癖は「やっさん天使!」でした。だけど、私に切なさを教えてくれたのは横山さんでした。私がこんなになんでもかんでも切ながるようになったのはきっと横山さんのせいです。横山さんの切なさについては5年くらい前に「横山裕とプリンと無常観」と題してぐだぐだ書いているので、自分の読み返し用に一個前のエントリに貼っておきます。
横山さんの変わっていないところと変わったところ。エイターになることのできなかった元エイトファンのたわごとです。




パンフレットの横山さんのインタビューを読んで、この人は相変わらず空っぽのままなんだなぁと思いました。

最近、ジャニーズの人たちってもソロ活動する人が多いじゃないですか?(中略)みんな、独自の世界観があるみたいで、正直、めっちゃうらやましいですよ。だって、僕ないんですもん、自分の世界とか(笑)。(中略)僕は“こういう自分を見てもらいたい”っていう部分がいっさいないから、お客さん目線で考えるしかしゃあないんです。


私にとって横山さんは空っぽな人で、例えるなら雲ひとつない秋の空みたいな人です。綺麗なのにどこか物悲しくて、いつ陰ってしまうか分からない儚い存在。いや、横山さんがおっぱい大好き下ネタ大好きでしょうもない人だっていうのは分かってるんです。だけど、その一方で彼の抱える空洞はあまりに大きくて、横山さんの存在は私にとってエイトという物語の「陰」であり「核」でした。


今回のソロコンでも、横山さんは各メンバーのソロ曲を歌っていました。真面目にやるものもあれば、ふざけてやるものもあったのですが、首尾一貫していたのはどれも「模写」に過ぎないということでした。普通メンバーのソロをやるとしたら、「818」でやっさんがまるちゃんの「MAGIC WORD」を弾き語りで歌ったように、「自分らしく」アレンジすると思うんです。だけど、横山さんはあくまで模写なんです。振付どころか演出やバックまで同じように再現しようとしていて、それが「パロディ」ではなく「模写」だと思えるところに、未だ横山さんが抱える空洞を感じました。


ただ、インタビューからも感じたのですが、たぶんこの人は空っぽな自分を許せるようになったんだと思います。今回、横山さんが作詞したという「cHocoレート」と「Kicyu」を聴いてびっくりしました。横山さん作詞の曲は「プリン」と「あめちゃん」と「みかん」と「オニギシ」しか知らなかったのですが、これらはすべて横山さんの半径50センチくらいの世界(「みかん」は1.5メートルくらいに広がっていたかもしれない)を切りとったもので、狭い世界しか持たない横山さんの衒いのなさに切ながりな私は毎回キュンキュンしていました。だけど、「cHocoレート」と「Kicyu」にはそれがなかった。むしろアイドルとしての衒いをたっぷり感じた。それでも「cHocoレート」はまだ横山さんの匂いが強い曲(「ポケットに入れてる」というあたり)だったけど、「Kicyu」は本当に曲そのものが素晴らしくて、そこに横山さん自身の切なさなんて入りこむ隙がなかった。このあたりは編曲マジックもあるのかもしれないけど、それでも横山さんの表現する詞の世界に広がりを感じた。


この「Kicyu」、後半ではアンダルシア風にアレンジしてもう一度披露するんですけど、これを見てもう一回びっくりした。同じ曲を同じコンサートの中でアレンジを変えて2回歌うということにもびっくりしたけど(それだけこの曲に自信があるんでしょうね)、横山さんが一人でもちゃんと「アイドルの横山裕」でいられようになったことにびっくりした。隠居中の横山厨の肉の人が言ってたけど、この人、メンバーの模写はできるくせに「横山裕」のことは「パロディ」でしか表現できなかったんですよね。私が見ていた頃の横山さんは一人でも「関ジャニ8横山裕」(8はあえて倒しません)で、「関ジャニ8」という鎧を外さなければならない時には、アイドルである自分を茶化してやりすごしていたんです。だけど、「Kicyu」のアレンジバージョンや「ConfUsion」のような、真正面からかっこいい曲を真正面から披露する横山さんからは「アイドルの横山裕」を直に感じられました。ってゆうか(BY.ガーヤ)、本当に踊れるようになった!踊れないからって「マーメイド」から外されていたあの横山さんが……!


横山さんは相変わらず空っぽな人だけど、私にとってそもそもアイドルは空っぽなものなので(だからたくさんの夢を託せる)、自分の空っぽさを受け入れることができた横山さんはアイドルとして最高で最強なのかもしれません。ただ、これはたぶんエイトという集団の中で見るとまた変わるんだろうな。こればっかりは見ないと分からないけど。


2部のアンコールで「Cool Magic City」を聴いて、松竹座に通っていた頃の気持ちを思い出しました。舞台上に青い布が広がって、そこから青い衣装を着たエイト現れて、その場にいる人間が一斉に「It's cool magic」の振付をすることによって生まれる波で、松竹座が小さな海になる、その瞬間がとても好きでした。何より「It's cool magic」をやる横山さんがとても幸せそうで好きでした。お金のない学生時代、夜行バスや青春18切符でせっせと通った大阪は、私にとって「Cool Magic City」でした。クルマとロマネに地方ファンは救われていました。


ただ、一番最後のアンコールが「ワッハッハー」で、やっぱりあの頃のエイトとは違うんだとも思いました。私にはこの場面でかかる曲は「浪花いろは節」しか思いつかなかったから。だけど、今でもクルマを大事にしている横山さんに、エイターになることのできなかった元エイトファンの私は救われました。また横山さんのソロコンがあれば是非行きたいです。エイトコンに行ってみるのもいいかもしれない。


それにしても「Kicyu」がよかった。やっさんかっこいい!!やっさん天才!!やっさん天使!!私は彼のファッションセンスと思想は受け入れられなかったけど、やっさんの作る曲とやっさんのダンスとやっさんの歌声は今でも大好きです。今でもジャニーズ一歌とダンスがうまいのはやっさんだと思ってます。