愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

ダイの大冒険

昨日は「秘密の花園」を読むかたわら「片乳首出したおっさんの後をつけたら天空の剣を見つけた(http://www.pixiv.net/member.php?id=958757)」というドラクエのパロディWEB漫画を読んでいました。これがものすごく完成度が高くて、もともとドラクエ5が好きだったこともあり、夢中になって読みました(ただしまだ完結していない)。
そんなパロディ漫画を読んでいたら、無性に「ダイの大冒険」を読みたくなったので、今日は8時間くらいかけて全37巻を読み返しました。私がこの時代にこの年齢で生まれて良かったと心から思えることが二つあります。一つは知念様がもっとも美しいであろう10代後半を存分に見守ることができる経済力と体力のある年齢であったこと、そしてもう一つが「ダイの大冒険」という名作を多感な時期にリアルタイムで読めたことです。そのくらい私は「ダイの大冒険」が好きなのです。


この話の何が一番好きなのか考えていたんですけど、目的が首尾一貫しているところが最大の魅力なのかもしれません。師であるアバン先生の敵であるハドラー、そしてその上に控えている大魔王バーンを倒すことを物語の初期に目標として掲げ、それを目指してダイたちが少年ジャンプの合言葉でもある努力と友情を武器に勝利していくという単純明快なストーリーです。ドラゴンボールはじめジャンプ漫画のバトルものでは敵がどんどん強さのインフレを起こしていきがちですが、大魔王バーンは最初から最後まで最大最強の敵であり続けました。フリーザの「私の戦闘力は53万です」という言葉よりも、バーンの「知らなかったのか。大魔王からは逃げられない」という言葉の方に圧倒的な絶望感をおぼえたものです。この作品はあくまで「ドラゴンクエスト」のコミカライズだったため、ジャンプシステムに束縛されず、のびのびとストーリー展開ができたのかもしれません。
ダイの中でも強さのインフレは一応起きていますが、そもそも敵がどんどん強くなるのはRPGの基本でドラクエ自体がそういうゲームなので、これは計画的なインフレと言えるでしょう。それに最初に出てきたボスキャラであるクロコダインも多少ヤムチャ化(初期の強敵が味方になり最終的に究極の雑魚キャラになってしまうこと)はしましたが、最後まで己の身の丈に合ったポジションでダイたちを支え続けます。そういう風にキャラクターがひとりひとり丁寧に描かれているところもすごく好きです。嫌なやつだったベンガーナの王様がダイの戦いを間近に見て「あんなに興奮したのは初めて馬に乗れた時以来だったよ」と言うシーンとかすごく好きです。


小中学生の頃は派手なシーンでよく泣いていました。特に12巻でポップくんが○○○○するシーンは何度も読み返して100回くらい泣いたと思います。でも、今回読み返していてもそこでは泣かなかったんですよね。それよりも、ポップくんが里帰りしてお母さんを助ける場面や、ダイが戦いから逃げてポップくんと夜中に話をする場面や、ダイとバランとのやりとりにジーンときました。初めて読んだ時、私はダイより年下でしたが、今はもうアバン先生の年に近いわけで、感動する場面の変化に自分自身の成長と老いもしんみり感じてしまいました。

よく考えてみると、ダイって孤児として怪物島に流れ着いて、モンスターしかいない島で12歳まで育って、それから3ヶ月間勇者と祭り上げられて戦い続けて、最後には……という壮絶かつ切ない人生だったんですよね。たった12歳で、人間の良いところも悪いところもすべて見つくしてしまった気がします。なんとなく、ダイって山田くんとかぶるんですよね。私が好きになった時の山田くんがちょうど12歳になる直前だったせいもあると思うんですが、すべての責任を背負って、最終的には悟りの境地に達していたダイくんと、どんどん成り上がっていってセンターとしての責務を担っている山田くんは似ている気がします。

知念様も二次元的な方ですが、ジャンプ系じゃないんですよね。少年誌で例えるならサンデー系な気がする。そんなこと言ったら、山田くんも中身はマガジン系だと思うんですけど。ありたんが最強のジャンプ系男子ですね。ありたんは平成ジャンプであると同時に少年ジャンプでもある。圭人はアフタヌーンかな。少年誌じゃないけど。

というわけで、あんまりまとまっていないけれど、ダイ大をひさしぶりに読破できて楽しかったです。ただ、この漫画って私の中の思い出補正がすさまじいので、今の年齢で初めて読んでもそこまで感動しないと思うんですよね。小学校の頃、傘やほうきでアバンストラッシュの真似をしていたような子供たちの中で名作であり続ける作品なんでしょう。そういう年齢の時にこの作品に出会え、経済力のある年齢の時に知念様の一番素晴らしい季節を全力で追える、そんな時代に生まれてよかったなぁと思います。