愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

誰が知念様を人見知りにしたのか?〜膝乗りの代償〜(後)

紅白の出演者が発表されて、NYCは出演しないことが明らかになりました。雑誌からも姿を消しているし、自然消滅もありえるのかもしれません。正直、NYCはこちらが愛着を持てるほど何かしたわけでもないし、もともとゆまたんは7WESTとしてデビューして欲しかったし、なくなったとしてもそこまで感慨はないです。3人ともNYCを別荘としてとらえていたと勝手に思っているので、なくなって淋しいは淋しいんでしょうが、それ以上でもそれ以下でもないんじゃないかなぁ。コンサートは見たかったけど。悲しいけどジャニーズって戦争なのよね(BY.スレッガー中尉)。

NYCがジャニーズ界にもたらしたものは多くはないけれど、知念様にもたらしたものは多かったと思います。というわけで昨日の続きです。


NYC boysが結成される少し前、一つの転機が訪れていました。2009年4月から始まった「スクール革命」です。その前まで放送されていた「昭和×平成」に出演していたのはセブンの中でもベテランの中島・山田・森本の3人でした。この時まで知念様ってジャンプの戦力として中核を担っていたわけではないんですよね。確かに運動神経は超人的だし、かわいい顔して意外と毒を吐くし、当時は高音パートを担ったりしていて個性は炸裂していましたが、あくまでも飛び道具的な扱いで、セブンの中では圭人と共にみそっかすな扱いだったような気がします。そういうはみだし者の連帯感もあって、当時の圭人と知念様は箱庭のような関係を築くに至ったんでしょう。

その中島・山田・森本体制がドラマ「スクラップティーチャー」から徐々に変化し、「スクール革命」ではゆうとりんともったんが抜け、知念様が選抜されました。そして、その2ヶ月後にNYC boysが結成され、セブンは山田・知念体制へシフトしてゆくことになります。これは実質セブンのセンターがゆうとりんから山田くんに完全に変わるということでもありました。このあたりの流れはゆうとりんサイドから見るとかなり悲劇的なんでしょうが、私には詳しいことは分かりません。ただ、一度没落しているからこそゆうとりんには今の輝きがあるんだと思います。

NYC boysはもともとバレーのサポーターをする間の期間限定ユニットの予定で、この頃の知念様にはまだ「てきとうにやるか〜〜〜」という雰囲気が漂っていました。その年の夏ツアーの天国コンでもNYCコーナーの知念様のやる気がなさすぎて「きまぐれオレンジロードよりきまぐれな知念様!きまチネ!」と思ったりしていました。「スクール革命」においても、緊張はしていたものの知念様はのびのびと覇王っぷりを貫いていたと思います。久本雅美さんと一緒にベンチに座って「僕と結婚してさ、ここに座る子作ろうよ」と言い放った時の衝撃は今でも忘れられません。


2009年の11月、紅白出場と共にNYCの正式デビューが決定しました。そして、今までの小さな転機が一気に大きな波となって襲いかかってきたのです。


知念様がNYCについて語っている記事をあまり読んだ記憶はありませんが、山田くんはそれはもう分かりやすく悩んで悩んで悩みまくっていました。確か女性誌のソロインタビューで、ジャンプのメンバーに悪くて薮くんに相談したというようなことを言っていた(はずなんだけど、どの雑誌か思い出せない)し、この頃の山田くんは「ジャンプにはきれいなままでいてほしい」「素直なジャンプでいてほしい」と信者系ファン以上にヤバめの言動を繰り返していました。2009年年末から年始にかけての山田くんはジャンプコン、NYC紅白、左目探偵の撮影等色んな仕事が重なっていて、精神的にもかなり追いつめられていたような気がします。2010年1月11日放送のウルパワ(id:ariyoshi:20100111:1263219916)で「嬉しいことが分からない」と言う山田くんのメンタルが心配でたまりませんでした。
この頃からYCの過剰な絡みが見られるようになります。コンサートの最後にYCであいさつするようになったのも、2009年-2010年の冬コンからです。あまりにも絡むので「YC的接触が発生するごとに山田くんと知念様にお小遣いが入るのかしら?」といぶかしんでしまうほどでした。実際にある程度は事務所からの指示があったんだと思います。しかもその絡みは基本的に山田くんが主導なんですよね。「NYC」の「Kiss me baby」の部分はもともと知念様が山田くんにキスを迫っていたのに、サマリー2010ではすっかり山田くんが知念様にキスを迫る曲になってしまいました。


なぜ、突然山田くんの話をし出したのかというと、知念様を変えた要因のうちでもっとも大きなものの内の一つが山田くんだと思っているからです。
山田くんは自分のためよりも大切な人を守るために力を発揮するヤンキータイプです。そして、ドリボのごとく「何もかも引きうけてやろうじゃねぇか!!」と全部自分で背負ってしまうタイプです。この頃の山田くんには本当に一人で何もかも背負っているような悲壮感があって、そんな山田くんの悲壮な覚悟に知念様は巻き込まれてしまったような気がするんです。

もともと山田くんは知念様のことがあまり好きではありませんでした。いきなり出てきて良い位置で踊る知念様を見て、ザ・成り上がりの山田くんが良い感情を持つわけがありません。しかし、もともとヤンキー体質で優しい山田くんなので、素直に慕ってくる知念様を邪険にし続けることもできず、知念様を庇護下に置き弟のようにかわいがることで敵愾心やコンプレックスを解消していたんじゃないかと思っています。そんな感情を持ったまま、知念様と二人でジャンプから切り離されてしまった山田くんが「知念のことも含めて全部俺が背負わないと」という極端なところまで行ってしまったとしても不思議ではない気がします。

「NYCだと涼介が引っ張ってくれる」と知念様はよくおっしゃっていますが、山田くんがそういう役割を担うことで何かを振り切ろうとしているのが分かったからこそあえて山田くんに丸投げしたんじゃないでしょうか。そうやって完全に山田くんの庇護下に入ることによって、山田くんに守られているようでいて実は山田くんの精神を支えていたんだと思うんです。

知念様は聡明な方なので、自分の立位置の変化もNYCのことも知念様なりに悩んでいたと思います。ただ、知念様って環境が変わったら、一旦はその流れに身を任せて徐々に無理ない形に考え方を変えていくタイプなんですよね。だから、NIN×NINも「お母さんがいなくてさみしい」ではなく「他の人がいるから楽しい」と切り替えることができました。丸飲みする山田くんとは根本的にタイプが違うんです。
もしも山田くんがゆまたんのように受け流すタイプであったら、知念様は立位置の変化と二次性徴をうまく融合させてもっと伸び伸びと成長していったんだと思います。しかし、山田くんの丸飲み気質により、知念様はまるごと庇護下に置かれ、そこにい続けるために相応に成長することをも阻まれてしまったような気がするんです。

紅白が終わった後、カウコンで会ったメンバーに対して知念様は「さみしかったよ〜」とかけよって甘えたらしいですが、NIN×NINの頃と比べると少し違和感があります。かつての知念様なら「緊張したけど色んな人がいて楽しかった!」くらいのことは言いそうです。山田くんの庇護下に入ってしまった以上真っ向から悩むこともできず、かといって知念様の中にもNYCで活動することの後ろめたさもあり、折衷案として知念様がとった方法が「ジャンプ以外の仕事はさみしい」とメンバーに甘えることだったのではないでしょうか。
また、メンバーとしてもNYCの正式デビューが決まったことに不安があったでしょうが、知念様が「さみしかった」と言うことにより「ホームはあくまでジャンプ」だと言うことが確認できて、ある程度不安が払拭できたと思うんですよね。これが、知念様の「人見知り」の第一歩だったんだと思うんです。メンバーは知念様が人見知りだという話を嬉しそうにします。それが知念様のかわいらしさを構成する要素の一つであるみたいに。


誰が知念様を人見知りにしたのか?
それは知念様を含むジャンプのメンバーみんなです。もともと「膝乗り」という「甘え」から関係をスタートした知念様、知念様ごとNYCの宿命を背負いこんだ山田くん、外から帰ってきた知念様を猫かわいがりする他のメンバー、全員が知念様を「人見知り」にしたんです。


ここまで読んだ方のほとんどが思っているでしょうが、これは極論です。そもそも外部仕事があまりなく、ジャンプ自体が箱庭のような内向きの関係性を築いてしまったことも大きな原因だと思います。知念様の成長による内面の変化も複雑に絡み合っていると思います。ただいずれにしても思うのは、知念様が苦手なのは「知らない人ばかりの場に身を置くこと」ではなく「ジャンプの外に出ること」であって、そのきっかけとしてNYC結成は大きな意味を持っているということです。知念様の「人見知り」は「僕の居場所はジャンプだけだよ」とはっきり言えなかった知念様が作りだした「もう一人の自分」なのかもしれません。

ここのところ、知念様には一人の演技仕事が増えてきています。NYCに対する困惑もとっくの昔になくなっています。もはや知念様にもジャンプにも「人見知り」なんて性質は必要ありません。だけど人体に不要な器官が残っているように、、その性質は知念様の中に根深く残ってしまっています。盲腸も痛まなければ切る必要はありませんが、害をもたらすなら切り捨てないといけなくて、いままさにそういう時が訪れているのではないでしょうか。多少痛みが伴うでしょうが、それを切り捨てれば意外なほど身軽になれると思いますし、知念様もそのことを分かっている気がします。そんな知念様の変化をこれからも見守っていければと思います。