愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

ファンファンフォーエヴァー

誰かのファンになるということは、その人の物語を作り出すことだと思っています。例えば、ジャニーズJr.の生田とうまくんが「笑ってコラえて」にゲストとして出演しているとします。そこである人が「この人は普段女の子にキャーキャー言われてるジャニーズJr.なんだよ。さりげなく『バイビー』とか使っちゃうんだよ。ダンスはフェロモン系なんだよ」と言った(あるいは言いたくなった)としたら、それはその人が生田くんに対して物語を作り出しているということになるのです。語っている内容が事実であるか妄想であるかということが重要なのではなく、自分の中にある情報を自主的に自分の言葉で語り出した時点で「物語化」は始まっているのです。「あの子のことをみんなは○○だというけれど、本当は△△な子なんだよ」なんて語りだしたらもう決定的です。この「ファンは対象を物語化する」という性質をうまく利用したのがモーニング娘。で、ネット上でこれほど娘。のテキストサイトが氾濫し、様々な娘。小説が書かれたのも、あらかじめASAYANが用意した物語の雛型があったためにファンの間で物語を共有するのが容易かったからなのではないかと思います。
このことは随分前に書いたこととほとんど同じ内容なのですが、なぜ今再びまた同じことを書こうと思ったのかというと、それにぴったりな言葉を見つけたからです。

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……」
(『星の王子さま』 サン=テグジュペリ 内藤濯訳)