愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

日記っぽいこと

内定式は小学校の卒業式みたいだった。一人ずつ名前が呼ばれて、偉い人から証書をもらう。そのあと内定者で飲みに行って、ほどよく飲んで良い気分で帰ってきて、店の皿洗いとレジ締めをして、演技者。のDVDでも見ようかなーと思って部屋でゴロゴロしていたら、妹に「髪を染めてー」と言われたので染めてあげた。
うちの両親は本当に店にかまけっぱなしで子供は放置プレイなので、かまってもらいたがりの妹は常に不満を言っている。私に「勉強教えて」とか「髪染めて」とか言ってくるのも、そのこと自体よりも誰かにかまってほしいからなんだと思う。
内定式の話なんかをしつつ、来年から地方に飛ばされることが確実だということを言ったら、普段ひねくれたことばかり言っている妹が「おねえちゃんがいなくなったらさみしいな」とぽそっと言って、私は妹の髪をとかしながら「髪を染めてくれる人がいなくなったらこの子は家に帰ってこなくなりそうだな」と不安になった。
地方に行くということで、友人達に会えなくなるさみしさや、万年人手不足で苦しんでいるうちのお店のことや、TVKが見られなくなる不便さ(笑)などと思うことはたくさんあるのだけれど、それよりなにより一番気にかかるのは妹のことである。幼い頃の育て方よりも、中高時代にきちんと向かい合ってくれる人がいたかどうかということの方がその子供の人生に大きな影響を与えると思うんだ、私は。