愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

『ポーの一族』

ポーの一族 I 萩尾望都Perfect Selection 6 (フラワーコミックススペシャル)

ポーの一族 I 萩尾望都Perfect Selection 6 (フラワーコミックススペシャル)

毎月萩尾望都パーフェクトセレクションを一冊ずつ買っているのですが、今月発売されたのはかの名作『ポーの一族』でした。私はどちらかといえば『ポーの一族』より『トーマの心臓』の方が好きで、中2か中3の時に初めてトーマを読んで「これこれ!私が文学に求めていたのはこれなんだよ!」と強く思ったものでした。あまりにトーマばかり読みすぎて、正直ポーはそこまで読み込んでおらず(といっても簡単な年表を作ったり、発表順に並び替えて読むくらいには思い入れはあったのですが)、今回のパーフェクトセレクションもトーマばかり楽しみにしていたのですが、ふと昨日の夜読み始めたらポーがあまりに素晴らしすぎて、まいったネ今夜というか昨夜。この作品は少女漫画の枠を超えて非常に高い評価を得ています。一読した限りではその叙情性と繊細さばかりが印象に残るのですが、実はものすごく物語としての構成が骨太で、読めば読むほどその緻密さに引き込まれずにはいられないのです。ポーの一族バンパネラ)とエヴァンズ一族を巡る壮大な大河ドラマを、少女漫画を逸脱せずに描ききったからこそ、この作品は少女漫画を逸脱してしまったのだと思います。いやぁモー様はやっぱり天才ですわ。