愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

『波のうえの魔術師』

テーマに興味があったので読んでみました。「池袋ウエストゲートパーク」を読んだ時も思ったんですけど、石田衣良って語り口がクールですよね。ハードボイルドな語り口。私は「これぞ宿命!(バーーン!)」「なんという悲劇!(ガーーン!)」みたいなノリが好きなので、ハードボイルドな文体って読んでいてもピカピカに磨かれたガラスの表面をなでているような感覚しか持てなくてもどかしいんです。クールに見えて中は熱いというのはなんとなく分かるんですけど、私は鈍感だからやっぱりなんとなくしか分からなくて、だからそのガラスの向こう側にあるものに直接触れたいんです。というわけでいまいちのめり込むことができなかったのでした。でもそれでよかったのかもしれない。

波のうえの魔術師 (徳間文庫)

波のうえの魔術師 (徳間文庫)