通学ベクトル礼賛
℃-uteの鈴木愛理さんのソロ曲に「通学ベクトル」という曲があります。雨の日だけ同じバスに乗ってくる男の子に会いたくて毎日雨が振るようにお祈りしている女の子の心情を歌った、2期タンポポあたりで発動していたつんくの少女漫画的妄想力が炸裂した名曲です。
でも雨ね くせ毛になるわ
神様は意地悪ね くねくねしちゃうな
「通学ベクトル」 作詞・作曲:つんく 編曲:平田祥一郎(以下引用はすべて同様)
この部分を聞いているとどうしてもきすまいふっとつーの某前髪の君が思い出されて仕方ありません。あのくねくねしちゃってる前髪もそうなんですけど、この曲の若干乙女チックに粘着質な感じが、屋良くんの歌う「LOVESICK」(@少クラ)を6回見た上でドッキドキLOVEメールを屋良くん本人に送りつけてしまう乙女チック父さんのイメージによく合っていて、聞けば聞くほど父さんのテーマソングに思えてきます。「期待しちゃって眠れなくって二度寝」とかしてそうだし。
なんて気持ち悪い前置きはどうでもよくて、この曲が名曲であるってことは一回でも聴いたことのある方であれば否定しないと思うんですけど、中でも一番印象に残るフレーズが
るてるてずうぼ
だと思うんです。「てるてるぼうずを逆さに吊るすと雨になる」というおまじないを一言で表したと思われるすごすぎるフレーズ。ほんと、つんく天才すぎる。いまどきの女の子が逆さてるてるぼうずなんて知っているのか謎ですが。
「るてるてずうぼ」然り、この曲が名曲である所以の一つに「小物(アイテム)使いの巧みさ」が挙げられると思います。なんというかぱっと脳裏にイメージが浮かぶ言葉の選び方がうまいんです。まずタイトルの「通学ベクトル」の「ベクトル」という言葉のチョイスが素晴らしい。ベクトルがよく分からない私のようなパーな人間にもとりあえず「矢印を使う」ということくらいは分かります。この曲のタイトルは「通学バス」でもよかったと思うんですが、「ベクトル」というフレーズを使うことで、好きな男の子に向かっている女の子の恋心のまっすぐさがより伝わってくるような気がします。歌詞カードにはタイトルの最後に傘マークが付いていて、よりイメージが湧きやすくなっています。愛理の振り付けもなかなか印象的。他にも
予報は全部 明日は傘マーク雨
わざわざ「傘マーク」というフレーズ(歌詞カードには本当に傘マークが書いてある)を入れることで聴く者の脳裏に「傘マーク」を思い浮かべさせたところで、「るてるてずうぼ」というフレーズをつっこんでくるつんくのセンスが素晴らしい。
雨の日は くせ毛になるの
「くせ毛」というのもさりげなく乙女アイテム。そういえば娘。さんのハピサマのカップリングに「通学列車」という名曲があるんだけど(これは毎日電車が同じになる男の子にときめいている歌)、その女の子も前髪を気にしていて、くせ毛にしても前髪にしても絶対どちらもはたから見たら本人が何を気にしているのは分からないレベルだと思うんですよ。でも恋する女の子は気になっちゃうわけです。なんかそういうさりげない描写がうますぎて「つんく天才!」を通りすぎてもはや「つんくきもい!」です。前はこのフレーズを聴くと「恋する女の子ってかわいいな〜(てへてへ)」と思っていたんですが、いまやこのフレーズを聴いて思い浮かぶ人物はTAISUKE FUJIGAYAです。残念でならない。
目覚ましは 必要ないわ
「目覚まし時計」というアイテムも少女漫画的。なんとなく水沢めぐみっぽいアイテムだと思う。
ビューラーも完璧だし
「メイク」ではなく「ビューラー」というのがよいね。
大慌てで歯ブラシして 制服に着替え
ここも普通は「歯磨きして」になると思うんだけど、「歯ブラシ」なんですよね。「制服」も分かりやすい思春期アイテム。
予報もあれれ? 50%に変わってる
特に小物を使っていないんだけど、テレビの天気予報の映像がなんとなく浮かぶ一節。
この小物(アイテム)の使い方の秀逸さがこの曲の少女漫画チックな雰囲気を引き立てていると思うんです。ほんと水沢めぐみとか柊あおいとか八木ちあき(みんななんとなく名前が似てる)とかの世界。最高ですな。こういう歌がぽんと出てくるからハロプロはやめられません。