愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

知念様とラジオと私

ウルパワが来週から一人パーソナリティーになるそうです。私がこの一年間、三週毎に捧げていたKCラジオ祈願はとうとう叶わないまま終わりました。
なぜ私がこれほどまでにラジオにこだわるのか、分からない人もいると思います。私もかつてエイトファンだった時、なぜヨコヒナファンがレコメンにあれほどまでにこだわるのか分かりませんでした。だけど、ウルパワを通じて、私はラジオの魅力が分かったような気がしました。
ラジオが二人体制でなくなることがとても寂しいです。ラジオが二人体制でなかったら、きっと私はここまで知念様について色んなことを考えることもなかったと思います。
私が生まれ育った家は、建て替えのため小学六年生の時に壊されました。仮住まいに引っ越してから、こっそり一人でその跡地を見に行って、何もなくなった空き地にしゃがんで少しだけ泣きました。新しい家ができることは楽しみだったけど、慣れ親しんだ古い家がなくなることにものすごい喪失感をおぼえました。
私にとって、二人のウルパワは故郷の家みたいな存在でした。すべてがそこから始まったと言っても過言ではないくらい、私の考えや日記に大きな影響を与えました。
一人になったら、それはそれで面白いことも興味深いことも出てくるんだと思います。一人が良いとか悪いとかではありません。ただ、単純に寂しい。




過去に、ラジオはアイドルの黄昏時を教えてくれる、というようなことを書いたことがあります。彼らの昼の顔がアイドル、夜の顔がプライベートだとすると、その間の曖昧な表情を伝えてくれるのがラジオなんだと思います。そこに透けて見える知念様の素の表情がとても興味深かった。


私はかつて、知念様のことを「覇王」と呼んで崇めて奉っていました。時々当時の気持ちを思い出そうと思って、自分の過去ログを読んだりするのですが、私が最初に知念様について書いた記事(id:ariyoshi:20090323:1237820189)
は今でもよく読み返します。私は知念様の圧倒的な自意識の高さとアイドル性に惹かれて、知念様のファンになりました。その思いは今でも変わりません。
だけど、知念様を見ていくうちにそこに色んな思いが足されていくようになりました。この2年半、知念様について色んなことを書いてきました。でも、私が知念様について本当に考えるようになったのは、ラジオを聞いてからだったような気がします。もっと言えば、KCラジオの知念様に違和感を感じた時からだったような気がします。


私が一番思い入れのあるKCラジオは2009年2月2日放送分です。このラジオを聴くまで、私は知念様はエキセントリックでゴーイングマイウェーな方なんだと思っていました。実際に山田くんとのラジオでは暴走しまくって、「知念、聞け!」と怒られまくっていました。でも、この回のラジオで圭人のとんちんかんな答えにいちいちまっとうなつっこみを入れる知念様を見て(というか聴いて)、知念様って意外と常識的な普通の子なんだと初めて思えました。

岡本:すごいね、ちゃんと答えるんだ。
知念:ちゃんと答えて!
岡本:ふふふふふ。
知念:だってあなたの頭どーかしてんだもん。
岡本:ふふふふ。


2009年のラジオについてはそのうち感想をきちんと書きたいんですが、とにかくこの回の常識的な知念様がすごく衝撃的で、知念様がアイドルという殻の下に隠しているものが気になり始めました。そして、知念様が相応の覚悟をして身に付けているアイドルの殻をあっさり外してしまう圭人も気になるようになりました。


私の中で転機になったエントリがあります。それは知念様ではなく、山田くんについて書いたものでした。そのエントリについて書くきっかけになったのも、やっぱりラジオでした。私は山田くんがぽろりとこぼした「嬉しいが分からない」という発言が胸に詰まって、苦しくて苦しくて仕方がなくて、吐き出すように「山田くんのI LOVE YOU」というエントリ(id:ariyoshi:20100112:1263275335)を書きました。これを書き終わった時に憑きものが落ちたようにすっきりして、「書く」という行為の意味がようやく分かったような気がしました。最近、ニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った(上)』にある「すべての書かれたもののなかで、わたしが愛するのは、血で書かれたものだけだ。」 という言葉が気に入っているのですが、私が初めて血で書いた文章はこのエントリかもしれません。この山田くんの発言も知念様との対話がなければ生まれなかったと思います。


去年の夏、私はサマリーを見ていると、不安で仕方ありませんでした。空中ブランコに挑む知念様がとてつもない孤独を抱いているような気がして、なんだか悲しくて仕方ありませんでした。そんな私の心を、サマリーが終わった直後に収録し放送されたKCラジオが救ってくれました。2010年のラジオを聴いて、KCの関係性がまったく変わっていないことが分かって、心底安心したんです。ここでなら知念様は孤独になることはないと思えたんです。


今年のサマリーでは知念様はとても安定しているような気がしました。その変化をラジオで知りたかった。一番知念様の素を出してくれるKCラジオで確認したかった。


アイドルの言葉を伝える媒体の中で、ラジオが一番素材に近いものを提供してくれている気がします。その言葉はいつも私の考える指標となってくれました。人は一人しかいないとそこに呟きしかなく、二人になると対話が生まれ、三人以上になると社会になります。ウルパワは貴重な「対話」を提供してくれる場でした。その場がなくなることが本当に寂しい。


今回、一人体制になるということは、一人でやれるようになったと判断されたということで、彼らがある程度認められたということでもあるんでしょう。そして、一人の呟きだから発見できることもきっとこれから出てくるんでしょう。だから、このことをあまり嘆くべきではないんだと頭では分かっています。けれども、今まで二人のラジオを通じて見つけてきたことが大切すぎて、今はまだ呆然としている気持ちの方が大きいです。とにかく、今年のサマリーで私は知念様の圭人に対する態度が変わったことを強く感じたので、最後に一回でいいからKCラジオを聴きたかったです。何より、157週中6週って少なすぎませんか……ねぇ……。

というわけで、最後にお約束のものを貼っておきます。

全員…………1週
岡本・中島…19週
岡本・山田…15週
岡本・知念…6週
岡本・森本…21週
中島・山田…13週
中島・知念…21週
中島・森本…19週
山田・知念…18週
山田・森本…12週
知念・森本…12週


やっぱりバランスおかしい(泣)もっと二人のラジオが聴きたかったです……。