愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

ウィークエンダーに感動してんだー

こんばんは。愚民・ウィークエンダー・ありよしです。皆さん、『音楽のちから』は見ましたか?『ウィークエンダー』はご覧になりましたか?私は10回ほどリピートしても感動が冷めやらず、その衝撃に突き動かされて今この文章をしたためています。
正直言って最近のジャンプの曲には何のときめきもおぼえませんでした。『Ride With Me』は等身大のジャンプを歌った曲でしたが、そもそも私はこの「等身大」って言葉が大嫌いなんです。そんなもの求めているならアイドル曲なんて聴いてません。『AinoArika』は壮大なテーマのように見えて実は宇宙を自分の大きさにまで矮小化した曲で、やはり面白みのない曲でした。私は「地球」と書いて「こころ」と読み、太陽を抱きしめてしまうジャンプの無駄な壮大さが好きでした。宇宙を自分の大きさに合わせるのではなく、宇宙の大きさに自分たちを合わせてしまうハッタリ感が好きでした。正岡子規は「一たびわが頭脳中に縮めたる宇宙を頭脳の外に投げ出せば宇宙は再び無量際にはまでひろがりぬ」と言いましたが、私にとって宇宙を頭脳の外に投げ出してくれるのがアイドルという存在だったのかもしれません。
等身大の自分たちを歌い、宇宙を縮めはじめたジャンプに軽い失望をおぼえつつあったところで、彗星のように現れたのがこの『ウィークエンダー』です。素晴らしすぎて、今でもキーボードを打つ手が震えるほどです。

土曜日の夜は ハイビート胸騒ぎ
I miss you! ウィークエンダー
だから待ってるって言ってんだ

もう出だしから最高です。私は℃-uteの『まっさらブルージーンズ』の「週末の夜の気分で」という歌詞が大好きなのですが、それを同じくらい素晴らしい。土曜日の夜の「今日一日休んでも明日はまだ休み!」というささやかな解放感は誰しも持っていると思いますが(土日休みじゃない方はごめんなさい)、そんな解放感を「ハイビート胸騒ぎ」という言葉で山田くんがいきなり無限大に広げてきます。別に胸騒ぎなんてまったくなかったのに、なんだかドキドキしてきます。ダサく韻を踏んだラップも胸のビートを高め、震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!!とサンライトイエローオーバードライブな気持ちになってきます。

最上級なノンフィクション
かき混ぜればファンタジー
いつわったアクター いつから? It's show time!

この部分も素晴らしい。アイドルという存在を端的に言い表したフレーズです。アイドルは彼らそのものが商品です。特にジャンプのように毛も生えそろわないような年頃からアイドルをやっているような子たちが成長していく様子はまさに「最上級のノンフィクション」です。しかし、その一方でヲタは彼らに夢も見ているわけで、「かき混ぜればファンタジー」とはよく言ったものだと思います。アイドル曲は「誰が歌っても良い曲」ではなく「アイドルが歌うからこそ良い曲」じゃないといけないと思うのですが、このフレーズはまさにアイドルが歌うからこそ輝く曲です。

ふたり見つめ合う目をそらさない
それがオンリールール
キミのためにIt's all right!
無茶ぶり空振りドンと来い!

突然の恋愛要素!!これもまたアイドル曲の醍醐味です。かの名曲『Kissからはじまるミステリー』も恋の難しさをミステリーとかけて軽快なポップスに仕上げていましたが、この曲も同系列な曲であることがここで判明します。「無茶ぶり空振りドンと来い!」という謎のハッタリも最高です。ちなみに「キミのためにIt's all right!」は知念様パートです。ここはテストに出るのでよく覚えておくように!

恋は、キラリ ミステリー
最高に魅力的な謎を解く
今夜 僕とファンキータイム
宇宙一暑い夜 ウィークエンドナイト

恋と週末の高揚感をごったまぜにし、毎週土曜日に放送される金田一少年の番宣も絡めつつ、僕たちが「宇宙一暑い夜」にしてやると思いっきりハッタリをかましてくるサビで、こちらのテンションも最高潮に高まります。ここで使われる「宇宙」は矮小化された宇宙ではなく、彼らがデビューの頃に歌っていたような無限の広がりを持つ宇宙です。臆面もなく「宇宙一」とぶちかますジャンプにはデビュー当時のような根拠のない最強感が満ち溢れています。敢えていうのであれば、「宇宙一暑い」ではなく「宇宙一熱い」の方がよかったかな。「暑い」は基本的に気温を表すものなので上限があるけれど、「熱い」であれば1000℃にも10000℃にもなれるので、より大気圏をぶち抜けている感が出るからです。「恋は、キラリ ミステリー」にはキスミスのオマージュも感じられてなかなか心憎いです。

Ho! 水金恥火木どう?ってな土曜はどうよ?
感動なレスでも冷静に
Oh!Oh!引いてみて No!No!No!ガッツいて

この意味があるようでないようでありそうでやっぱりないのであろうラップも最高です。本当にありたんにはこういう不条理系アイドルラップがハイパー似合う。その次に光が冷静に「感動なレスでも冷静に」と言ってくるところがジャンプの個性。「Oh!Oh!引いてみて No!No!No!ガッツいて」ではKC二人が抜かれていましたが、懐疑的でありつつ執念深いKC厨にこの歌詞がピッタリすぎて、早くもこの夏の私の心を読まれているような気がしました。優れた作品には予言性があるものなのです。

ウィークエンドは終わんない
マジ迷宮なんです

この迷宮に対する軽さがたまらないです。相対的に彼らの最強感が強調されます。

So 解けない愛から始める∞ミステリー
謎のラブミサイル ブーン!

最後までテンションが下がらないまま曲はフィニッシュを迎えます。このパート、前者を伊野尾、後者を高木にした人にはセンスしか感じない。アイドルのパート割にはドラマがないといけないというのが持論なのですが、伊野尾の無限大の胡散臭さと高木の邪気のないかわいらしさがそれぞれに詰まっています。本当に素晴らしい!!


この曲は「恋」と「週末」という誰しも感じたことのある高揚感を宇宙規模に押し広げた上で、ミステリーを絡めつつ軽妙に歌ってみせた最強のアイドルソングです。そこには『ミステリーヴァージン』や『Ride With Me』に満ちていた重苦しさや閉塞感はまったくありません。東京ドームで『FOREVER』を聞いた時は、てっきりそれが金田一の主題歌になると思っていたのですが、あれがまた重苦しい曲だったんですよね。曲自体はかっこいいんですけど、金田一にそういうのは求めていないので、こちらが金田一の主題歌になって本当に良かった。

ウィークエンダー」は「週末旅行者」という意味らしいのですが、たぶんこの歌ではそんな意味はなくて、「週末の高揚感を宇宙レベルまでぶちあげてくれる人」くらいの意味なんだと思います。なにそれかっこいい。ウィークエンダーは毎週土曜日金田一少年に出演する山田くんとありたんのことであり、水球をやってくれるゆうとりんと高木のことであり、8月から毎月週末にコンサートをやってくれるジャンプたちのことです。彼らはみんな私たちおたくの夏を宇宙一暑くしてくれるウィークエンダーなんです。

一人にらめっこみたいなイントロの振りや、サビのかわいいんだかかっこいいんだかよく分からない振りも全部全部最高で、何度リピしてもしたりません。そして、最後に一人だけ礼儀正しくお辞儀をする知念様が本当にかわいくてかっこいい。


今日『ウィークエンダー』を見逃した方は、まず来週から始まる金田一を見て下さい。シングル発売の露出が始まったら音楽番組を見て下さい。そして来月から始まるコンサートに来てください。ウィークエンダーは半ば惰性でジャンプを見ていた私の横っ面をひっぱたいて、文字通り私の週末を宇宙一暑いものにしてくれました。こういうことがあるからアイドルファンはやめられない。