[本]モンテ・クリスト伯
- 作者: アレクサンドルデュマ,Alexandre Dumas,山内義雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1956/03/05
- メディア: 文庫
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1巻ではダンテスの理不尽な運命に怒り、2巻では弱きを助ける姿にカタルシスを感じたりしていたのですが、3巻では復讐に身を投じつつあるモンテ・クリスト伯の生き方がだんだん切なくなってくる。
わたしは、同胞のことなど決して考えたことがありません。わたしを保護してくれないような社会、さらに進んで言えば、わたしを害しようというときでなければわたしのことを考えてくれようともしない社会を、決して保護してやろうとは思いません。
人を無邪気に信じる快活な青年だったダンテスの言葉とは思えない。冤罪による獄中の生活が彼にどれだけ深い絶望を与えたのかがうかがえる。復讐だけのために生き、青白い顔に時々皮肉な微笑をたたえるだけのモンテ・クリスト伯の姿はなんだかあやうくて、とても切ない。その切なさに萌える。
萌えるのかよ!?ってね。そりゃ萌えるよ。「かわいそうと思うのは恋の始まり」ってのが何の文句だったか忘れたけれど、私に言わせてみれば「かわいそうと思うのは萌えの始まり」ですね。同情と萌えを勘違いしている女ですから。ぴろきにとってキスがマスターキーなら(いや、ぴろきはそんな子じゃないって信じてるけど!)、私にとってのマスターキーは同情。あるいは切なさこそがマスターキー。
これは文学作品に限っての趣味なのですが、不健康でストイックな青年の切なさに萌え萌えです。普段の私っていいこちゃんが好きなんですけどね。生田さんとかやっさんが好きなのはそういう趣味からですね、たぶん。不健康なのに萌えたくなったら文学を読みます。『カラマーゾフの兄弟』のイワン(まぁアリョーシャもいいこちゃんで萌えるけど)とか『死霊』の三輪与志とかほんとたまらん。
もはや文学を萌えというベクトルでしか捕らえられない私が文学で卒論なんて書けるんだろうか。ガクブル…。