愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

カラマーゾフの兄弟を読み終わってしまった

カラマーゾフの兄弟』が「こどもに関する物語である」という読み方は間違いではなかったと思う。こどもはこの世で唯一罪のない存在であり、未来への宝である。そのこどもに対して、私たち大人は何をすべきなのか。答えは簡単だ。ただ愛せばよいのである。親とは何なのか。血とは。国とは。神とは。愛とは。これはまったく素晴らしい小説だ!かつてトーマス・マンの『魔の山』を読んだ時、「文学はこれを読めばとりあえず問題ないな」と勝手に思ったもんだけど(ついでに夢野久作の『ドグラ・マグラ』も読んでも良いと思う。これは日本が生んだ通俗小説版『魔の山』だから。私が決めた)、『カラマーゾフの兄弟』もそういう断定的なことを言わずにはいられない小説だった。圧倒的な普遍性を感じた時に発動する思いっぽいな。ラストシーンの象徴的なことといったら!検事と弁護士の最後の弁論はアンチミステリとしても読めそうだ。それにしても面白かった。あまりの面白さに最後の方はページを開くだけで興奮した。実は中巻の途中まで読んで3年ほど放り出していたんだけど(愛するイワンたんがモスクワに旅立ってしまった、というしょうもない理由で……)こんな面白い話をよくも読まずにいられたもんだ。私の馬鹿馬鹿!他の小説を一万本読むより、この小説だけを暗記するほど読んだ方が良いかも分からんね、というのはさすがに言い過ぎだけど。いや、あながち言い過ぎでもないな。とにかく素晴らしかった。物語に対してこんなに感動したのは仮面ライダークウガぶりだ。