愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

一握の砂

どんよりと
くもれる空を見てゐしに
人を殺したくなりにけるかな
石川啄木『一握の砂』)

うぬ惚るる友に
合槌うちてゐぬ
施与をするごとき心に
(同上)

石川啄木って中二病っぽいな。下の歌の自意識過剰っぷりはすごい。私は短歌も詩もあまり読まないからよく分からないんだけど、この人の歌ってあまりうまくないような気がする。うまくないけど、情景はまざまざと浮かんでくる。それも情景だけがぽっと浮かぶんじゃなくて、啄木の目を通した、彼の感情の色がついた情景が浮かんでくる。そういうところが彼の支持される所以なんだろうが、私はもっと突き放した目線の方が好きなのであまりタイプではない。どうせ感情的になるならドストエフスキーくらい熱くならないと!だけどローマ字日記は興味深いので読もうと思う。