愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

本日の名言『用心棒』

一人斬ろうが百人斬ろうが縛り首になるのは一遍だけだよ

映画『用心棒』で「人を一人斬った」と自慢している与一郎に対して、母のおりんが放った一言。食べ放題で元を取るために食いまくるようなノリで、人殺しを教唆するお母様。刺激的だぜ。次点はその夫の「人殺し盗っ人と言われるようにならなきゃ蔵は建たねぇ」悪の英才教育を施す夫婦に痺れた。卯之助の「地獄の入口で待ってるぜ」もかっこいい。黒澤明の映画の台詞は人間味があってかっこよくて刺激的で、ドストエフスキーの小説を読んでいる時みたいな重苦しい高揚感をおぼえる。アイドルだろうが文学だろうが映画だろうが、私が求めているものは「かっこよくてワクワクする」ということだけなのかもしれない。

三船敏郎がかっこよすぎて辛い。『カラマーゾフの兄弟』を実写化するなら、ドミートリィは若い頃の勝新かもうちょい歳とった長瀬が良いと思うんだけど、三船敏郎もいいね。ミーチャは粗野で男らしくて情が深くて誰よりもチャーミングでなければならない。このチャーミングっていうのが結構難しい。

キル・ビル』でザ・ブライドがオーレン石井のところに殴りこみに行った時、ぶるぶる震えているぼっちゃんみたいな殺し屋をお尻ぺんぺんして逃がすのは、三十郎の「子供が刃物持つんじゃねぇ」へのオマージュなんだね。