愚民159

人はただ十二三より十五六さかり過ぐれば花に山風

知念侑李さん、18歳おめでとうございます。

この記念すべき日に何について書くかずっと悩んでいたのですが、私の中ですごく印象に残っている知念様の言葉をあげたいと思います。

Q8.自分の声は好き?
「好きです。でも自分の声じゃなかったら好きじゃないと思う(笑)。みんなに好きになってもらえるように頑張りたいです!」

(『月刊Songs』2010年4月号)


知念様はいつでも自分を肯定しています。でも、私は時々、知念様は本当はそんなに自分のことなんて好きじゃないんじゃないかと思うことがあります。自分のことを好きな人はもっと自分について語りたがると思うんですよね。だけど、ウェブを見ても、ラジオを聞いても、「この方は他人に伝えたいことなんて何もないんだろうなぁ」という感想しか持てません。
知念様が空っぽな人だと言いたいわけじゃありません。ただ、わざわざ声に出して言うほどのものは自分にはないと知念様自身が心のどこかで思っているような気がするんです。


知念様は時々アクセサリーを付けます。私は女のくせに自分でも呆れるくらい装飾品に興味がないので、それが知念様に似合っているのかどうかすらよく分かりません。ただ、なんとなく知念様くらいの年齢の子がするには高級そうなものであることは分かります。そんな知念様を見るたびに『ユー・ガッタ・モール』の「胸にキュンと アクセサリーがチャラチャラ」という歌詞が思い浮かんで妙に切なくなります。

アイドルは虚飾の世界です。その虚飾性は彼ら自身が歳を重ねれば重ねるほどあからさまになって行きます。
まだ幼さの方が強かった15歳の知念様は二次元的な演出をもって、その虚飾性すら自分のかわいさを引き出す武器にして『カワイイ君のことだもの』を歌い上げていました。
だけど、自我が確立されていくにしたがって、アイドルとしての自分と一高校生としての自分の間には段々乖離が生じてきます。知念様はアイドルである自分を全肯定していますけど、それでも時々ゆらぎのようなものを感じることがありました。
そんな時に、セブンのオリジナル曲として歌われたのが『ユー・ガッタ・モール』でした。安い化粧でデコデコな盛りメイクをする女の子を揶揄するようなこの曲を聞いて、「これは17歳の知念様が歌う『カワイイ君のことだもの』だ!」と思いました。
ユー・ガッタ・モール』というタイトルには「夕方盛る」という意味も掛けられているんだそうです。学校では素顔でいて、学校から出ると盛りメイクをする「彼女」は、アイドルという虚飾をまとう知念様自身のことみたいに思えて仕方ないんです。
みんな『カワイイ君のことだもの』の頃は単純にかわいさに流されてみんなおばかになってくれたのに、今では作られたかわいさは見抜かれて「何を企む?」とまで言われてしまいます。「かわいいのとかよわさわね」「しなやかだけどしたたかで」「アヒルな唇」というパートを知念様が歌うことには悪意すら感じます。
私は、知念様のかわいさはずっと武器だと思っていました。だけど、時が経つにつれて、それは武器ではなく知念様の繊細さや弱さを守るための防具だと思うようになりました。ユガッタの女の子も本当は繊細な子なんだと思います。それを守るために、派手なメイクで身を守って生きているんだと思います。なのに「したたか」なんて言われてしまう「彼女」がかわいそうで仕方ありませんでした。
だけど、実はこの曲って盛りメイクを否定していないんですよね。最終的には「みんなあげるよ」とすべて受け入れてくれる。だから、私はこの曲が切なくなるけど大好きなんです。


知念様はやっぱり自分のことはそこまで好きじゃないような気がします。でも、冒頭に挙げた通り、だからこそ知念様はあえて「好き」と断言するんだと思います。自分を「好き」と言って全肯定することは、歳を重ねるごとに難しくなっていきます。小さい頃は「カワイイ君」と言われた子も、「100キンで決めちゃってる」と嘲笑の対象になります。
でも、どんなに言われても、知念様はきっとメゲる素振りなんて見せず、これからも自分のことを「好き」と言い続けるんだと思います。今の私にとって、その弱さゆえの強さが知念様の最大の魅力です。


今日で、ここを更新するのを一旦やめようと思います。
前回の日記にも書いたのですが、ここのところ私はウェブで知念様について書くことの意味がよく分からなくなっていました。書いたとしても、今日の日記みたいに知念様の内面を勝手に憶測するようなことしかもう書けないんです。それはまるで鍵のかけられたドアを無理矢理こじ開けて、土足で入り込むような行為だと思います。しかも、そんなことは全部私の妄想にすぎないんです。そんなことは私だけがひっそりと思っていればいいんです。知念様が18歳になって一つ大人の階段を登ったみたいに、私も言いたいことを大きな声で言いたいように言うのはやめようと思いました。


知念様のことが好きです。今まで17歳という年齢が私の中で特別すぎて、17歳でなくなった知念様を今までのように好きでいられるのかと心配になる日もありましたが、私は18歳の知念様も好きで、明日はきっと今日より好きで、明後日はきっと明日より好きなんだと思います。
一番好きな時にやめるってすごく良いことなような気がします。遠い将来、もし私が知念様に飽きてしまっても、この場では私はずっと世界一知念様が好きなままなんです。


17歳の知念様はとっても素敵でした。
18歳の知念様はもっと素敵なんでしょう。
18歳の知念様がどんな歌を歌うのか、今から楽しみで仕方ありません。
知念侑李さん、18歳のお誕生日おめでとうございます。
知念様が世界一幸せに過ごせるように心から祈ってます。ごきげんよう